早稲田大学シュプリンゲンスキークラブ公式ブログ

早稲田大学公認のアルペンスキーサークルです!

MENU

『週刊アルペン語り』第一回 ニュートラル

 こんばんはM2の野口です。この度、『週刊アルペン語り』の連載を始めます。この企画はアルペンスキーについて様々な角度から切り込んで語っていくもので、多くの部員が執筆する予定です。本作は学生スキーヤーによる居酒屋トークのようなものであるため気軽に楽しんで見ていただきたい。

 ターンの始まりであり、ターンの終わりでもあるニュートラル。内傾角や加重などと比べあまり語られることがないニュートラルだが、今回『週刊アルペン語り』の第一回目としてディープに語っていきたい。これは私個人の見解であり堂々と間違いを世に出している可能性があるので注意してもらいたい。皆さんの見解や感想コメントしていただけると嬉しいです。

連続写真

 私はコーチにニュートラル(つまりターン後半・切り替え時に)で「腰を高く」や「立ち上がれ」など重心を高くするよう指導されるのだが、みなさんはどうだろうか?後傾の選手(私も含めてだが)は特に思い当たる節があるのではないでしょうか?上図は私が敬愛してやまないミカエラ氏の滑りであり、イエローラインは各地点の重心を繋げたものである。黄色線より重心の最下点はターンマキシマムで、最も高い時はニュートラル時であると示している。この結果はコーチの意図と一致する。

 今回議論したいポイントはニュートラル姿勢についてである。みなさんのイメージはどうだろうか?私はコーチから切り替えで「腰を高く」や「立ち上がれ」など言われていたため股関節・膝関節を伸展させ立つような姿勢をイメージしていた。ではミカエラ氏のニュートラルはどうだろうか?股関節・膝関節がともに約90°屈曲している、いわゆる空気椅子と呼ばれるポジッションである。一般的にこの姿勢はスキー業界では後傾であり悪とされている。ミカエラ氏(W杯74勝)の他にはマルセル氏(W杯67勝)やマルコ氏も同じニュートラル姿勢である。なぜこのような姿勢になるのかはまた今度に考察したい。

 さてなぜニュートラル姿勢で重心が最も高いのだろうか?ニュートラルでの空気椅子の姿勢は極めて重心が低い姿勢だといえるだろう。しかしニュートラル姿勢で重心が最も高い、答えは至ってシンプルなことである。ニュートラルではまっすぐ立っているから、体を倒せば重心は下がるただそれだけのことである。

ターンマキシマム

 次はターンマキシマムでの股関節・膝関節の角度からニュートラルに向かってどのような動くになるかを考えてみたい。再びミカエラ氏にご登場していただく。ターンマキシマムでの内足の股関節・膝関節はニュートラル時と同じく約90°屈曲している。つまり内足はターンマキシマムからニュートラルまでの間で股関節・膝関節の角度は変化してない。次に外足についてだがターンマキシマムでの股関節は伸展・膝関節は少し屈曲している。このことから外足の股関節・膝関節はターンマキシマムからニュートラルにかけて両関節は屈曲していることがわかる。

 以上のことからターンマキシマムからニュートラルにかけて両足全ての股関節・膝関節は伸展していない。つまり立ち上がる要素はないということである。冒頭で記述した「腰を高く」や「立ち上がれ」などの指導は実際の現象とは異なり、スキーヤーを混乱させるものになりうるだろう。【終】