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『週刊アルペン語り』第七回 個人スポーツ2種に学ぶ、メンタルトレーニングとスキーへの応用

皆さまこんにちは、4年の山脇です。

ある日始まった週刊アルペン語りのコーナーも7回目となりました。このコーナーが始まってから通常トレなどのブログ更新が行われていないので、後輩たちの自主的な更新が行われることを切に願いながら執筆いたします。通常トレのブログもお楽しみに!!

 

さて、今回のテーマですが、ずばりメンタル面についてです。今までが技術面に全振りしていた分、少し変わり種のテーマになりますが、自由研究の延長くらいの感覚でお付き合いいただければと思います。

 

今回のブログは以下の流れで進行します。

1.導入:緊張への対処法

2.他のスポーツの事例

 (1)テニス

 (2)陸上競技

3.考察

4.結論

5.参考文献

6.あとがき

 

1.導入:緊張への対処法

スポーツの現場には、常に緊張が付きまとうといっても過言ではない。集団スポーツであれば、自分のミスが相手につけ入る隙を与えることになる。その分、他人のミスをカバーすることも可能であり、互いに支えるプレーが原則となっている一面もある。

一方、我々が行うアルペンスキーのような個人スポーツでは、自分のプレーが周囲に直接影響を及ぼすことはない。自分のみが自分のプレーに責任を負うことを考えると、自分がいいタイムを出すのには自分のコンディションを整えて滑りに臨む必要がある。

そんなことを思った折、以前ラグビー元日本代表の五郎丸選手の講義を拝聴した際に、「緊張はしない。準備を重ねれば緊張することがない」とおっしゃっていたことを思い出した。正直、そのメンタリティに至ることが出来るのであれば苦労しないし、努力を重ねればその境地にたどり着くことは可能かもしれない。

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緊張とかしてなさそう枠・パンテュロー

 

しかし、そういった極限状態に入れない限り、普通は緊張とともに自分の番を迎えるはずである。

今回は、そんな個人競技につきものの緊張とそれに立ち向かう為のメンタルトレーニングについて、他のスポーツの例を取り上げつつアルペンスキーに活かせるような方法で考察する。自分の考えた空想で終わらないように文献を調べてみたが、あくまで自分用のものなので、役立てられることがあれば幸いである。

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緊張しまくり枠・サトシ(2年)

 

2.他の個人スポーツの事例からの学習

今回、私は2つの個人スポーツを参考にすることにした。一つ目は、個人的にメンタルが一番関係していると睨んでいるテニス、二つ目はアルペンスキーと同様にタイム計測による勝負を行う陸上競技である。

 

(1)テニスの事例

テニスの事例では高校生を対象とする文献に目を付けた。この文献では、トレーニングプログラムとして8つの段階を経るようにしており、「ゴール設定と基礎のイメージトレーニング」→「成功体験のイメージ」→「主要局面のイメージ」→「試合全体のイメージ」といった形で推移していくようである。

その結果、集中力や自信、忍耐力ではトレーニングが効果的に働いたが、闘争心などは変わらなかったという。また、ここから、試合に対して不安や緊張を抑えた状態で試合に臨めていることも伺えた。テニスは相手がいる以上相手のプレーにも影響を受けるが、自分が臨む試合のイメージをより鮮明に持っておくことで、緊張を軽減できる可能性があると見て取れた。

 

(2)陸上競技の例

陸上競技では、七種競技を扱っている中で110mハードル、200m、800mの事例をピックアップする。こちらの事例でもテニスの時と同様の流れで進んでいたが、試合全体のイメージの中に不測の事態への対処を盛り込んでいたことが興味深く感じられた。

実際のレースでも、同チームで前に出走した選手の情報よりもバーンが荒れていたり、けがが災いしてバランスを崩したりなど、思い通りに行かない事も数多くある。それでも、自分のミスは自分でどうにかすることしかない事を考えると、どのターンでミスが起きるかは予想できなくてもミスのパターンを想像してシミュレーションすることで、試合の漠然とした緊張や不安を抑えられるのではないかと考えられる。

また、この調査でスキーに近しい点は、イメージタイムと実際のタイムの差異が生まれることである。110mHではタイムのイメージと実際の差が小さかったが、200mでは開いてくることもあったため、時間が長くなるとイメージが難しくなることが見て取れる。逆に、イメージタイムと実際のタイムの差が小さければ小さいほど、適切に自分の体の動かし方と結果を予想して行動できていることになる。

今回参照した文献では、競技タイムが開けば開くほどイメージが難しくなる点がなかなか興味深く思える。岩岳のレースも種目によって異なるが、40秒台後半~1分弱のタイムレースとなるので、時間だけ見れば全体のイメージは難しい。ただ、GSが行われるかもしかを例に取れば、コースはじめの緩斜面から急斜面、廊下を抜けて急斜面、と区間によってプレー意識を変えるはずである。このように、それぞれの区間でのイメージを持てるようになれば、より正確に想定を組むことができるかもしれない。

 

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(そういえば、去年はこのことを知らなかったけど、55秒切りをイメージタイムに置いていたな、という回想)

 

3.考察

これらのスポーツでのメンタルトレーニングについて、やはり段階を経たメンタルトレーニングが効果を成すことが前提としてあった。また、「試合の自分や目指すタイムのイメージを現実に近づけることで、より試合の時点で自分のパフォーマンスを高められる」可能性があることが読み取れた。付随して、そのような想定を頭の中で積み重ね続けることにより、失敗できない局面でのレースでも、いつも以上の力を発揮することができると思われる。

いかに緊張や不安を取り除けるかには練習量や経験値に比例することは言うまでもないが、練習すればするほど緊張しなくなることの背景には、反復練習を経て適切なイメージを思い描けるようになることがあると考えられる。

 

4.結論

可能なのであれば、岩岳のスタートに立つまでに文字通り「完璧」な準備を行って、一片の悔いもない状態でスタートを切るのが理想だろう。しかし、現実問題としてはそうもいかないので、決められたコースを想像して自分の身のこなしを思い出せるような想像力を持つことがいいのではないか。

また、幸いにもアルペンスキーにはインスペクションの時間があり、具体的にコースの状態を見てイメージを膨らませることが出来る。インスペクションのやり方には流派が様々あると思われるが、試合の日までにポール練習で自分の身のこなしをイメージする練習を積むことで、試合で自分の動きをより鮮明に想定して、緊張を取り除けるのではないだろうか。

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インスペに新しい意味付けを

 

5.参考文献

・テニス(https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/717/022_p183.pdf

陸上競技https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/104440/S13482084-65-P159-NISH.pdf

 

6.あとがき

スポーツ科学を専攻しながら満足にプレー面を語れない悔しさからか、予定より多めに書いてしまいました。論文読むのに慣れてないんで、思ったより疲れちゃいました。てかテーマが図解できるもんじゃないから写真がなくてまあ困る。笑

考察してる内にインスぺの部分が気になったので、効果的なインスペクションのやり方とかブログ出たら嬉しいですね!!



それでは!