早稲田大学シュプリンゲンスキークラブ公式ブログ

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『週刊アルペン語り』第十五回 「あの人何しに来たんだろ?」

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アルペン語り出版部より
彼は昨年”打倒シュプリンゲン”を掲げていた、慶應義塾大学ラ・シャールスキークラブ所属の選手です。2023 年の第 50 回・全国学岩岳スキー大会では最後の 1 種目を残し、弊スキークラブ男子チームに総合得点 6 ポイント差まで迫り、熱い接戦を繰り広げました。個人の順位としては、高校からアルペンスキーを始めましたが、なんと個人総合 7 位に入賞しています。(個人総合表彰を取りたすぎて、最終種目のSL は "ほぼ" ボーゲンで滑り降りていました。)結果としては、シュプリンゲンの総合 2 連覇を許す結果とはなりましたが、激戦であったことは確かです。
今年は新たなメンバーが増え、早慶合同オフトレや、早慶戦、SAJ公認レースでもお互いの手の内が分かる機会が増えてきました。3 連覇を狙う早稲田シュプリンゲンに、慶應ラ・シャールがどのような挑戦を仕掛けてくるのか、非常に楽しみです。

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あの人何しに来たんだろ?

 

#打倒早稲田
#打倒シュプリンゲン

皆さんはじめまして。

とある学生のスキー旅行記というYouTubeチャンネルを運営しているDavid(実は本名)と申します。

www.youtube.com

 

今回このブログを書かせて頂ける事になり、ふざけるか迷いましたが、
折角なので鬼真面目に書くことにしました。

今深夜なので感情的になってしまうかもですが、ご容赦ください。

 

このブログを見ている人がどのような層なのかなぁ 
と考えたとき、高校や大学からスキーを始めた(運動経験の浅い高学歴な)非雪国の人が多いと思い、その人達を主なTargetとしています。

まあ、昔の自分ですね。
昔に戻れるなら何を知りたかったかを考えながら今文字を打っています。

 

さてさて、この記事のタイトルにもある「あの人何しに来たんだろ」という台詞

これは私がスキーを始めて間もない高校生の頃、レーシングチームにおいて、あるジュニアの子が私の姿を見てボソッと友達につぶやいていた言葉です。

 

当時私はリフトを降りてから、ポール練習のスタート地点にハの字で行くまで10分ぐらいかかるレベル帯の選手でした。

そのジュニアの子が性格悪いとかでは全くなく、
子供の頃からスキーという競技をしており、談笑しながらスタート地点までスイスイ片足で降りれる彼女にとって
自分より年上の高校生が亀のようなスピードで必死にハの字でスタート地点に向かっている光景はただただ奇怪だったのでしょう。

 

リフトに乗れるどんな斜面も最低限下れるポールを持てる宿舎に一人で戻れる

特に世間的には自立できる存在とみなされている高校生や大学生は、例えスキー初心者であっても、これらの事が当たり前に出来ると思われている節があります。

個人競技であろうと、これが出来ないと全体の練習効率を下げてしまい、周囲から疎まれてしまう事もあるでしょう。

疎まれる相手は自分の所属団体の同期や先輩、経験者の後輩かもしれませんし、何より自分自身が惨めで消えてなくなりたいと思う事もあるかもしれません。

 

上記のスキー場での立ち振る舞い以外でも、練習において小学生、中学生が勿論自分の何倍も速く滑っていますし、それを全員の前で公開処刑されるビデオミーティングが存在するなど、
少なくとも当時の自分にとってスキーをしている日々は人生で一番惨めで、辛くて、毎日嘔吐を繰り返していました。

 

このようにシーズンスポーツであるアルペンスキーでは、幼少期から競技を始める場合と、
自立できる存在である高校生や大学生から始める場合とでは
まず初心者の段階から心理的ハードルが大きく異なる事があります。

大学生は初心者で始める人がマジョリティな団体が数多くあるので(医学部など)、
全員がインターハイ予選や国体予選という戦場に立ち、選手としてトップ層と同様の姿勢が求められる高校生がこの心理的ハードルを一番感じているかもしれませんね。

 

身体能力が発達しやすい「ゴールデンエイジ」である9~15歳(諸説あり)を勉強漬けで過ごし、最低レベルの運動神経の人が、スキー経験が全くない状態で、
幼少期からアルペンに取り組んでいる平均的な選手と、限られた時間で同等以上の成績を残す事は
はっきり言うと、95%無理だと僕は思っています。

 

経験上、大抵の人は志半ばで辞める事になります。
(世の中にはスキー以上に楽しい事なんて無限にあるので、そっちを選ぶ選択が悪いと言っているつもりは一切ありません)

だから上記のような運動能力もスキー経験も無い選手は、最初から過度な結果を求めず、シンプルにスポーツを楽しむ姿勢でスキーに取り組む事が一番幸せだと思います。

 

ただそれでも、惨めな状況を耐えてでも、一定期間自分の人生を全て捧げてでも

アルペンスキー経験者に追いつきたい追い越したい大きなレースで結果を残したいと願う選手に向けて、私からいくつかの言葉を贈らせて頂きたいと思います。

 

所属団体を疑え

いきなり物騒なサブタイトルからはじまりますが、まずはこれですね。

これを読んでいる人は(恐らく)、超強豪のスキー部に所属している選手ではないと思います。

関東圏の高校スキー部だったり、大学のスキーサークルだったり、所謂プロのスキーコーチから一年中指導を受けている環境ではない団体に所属していると思います。

 

そのような団体に所属している場合、雪上練習は勿論、特にオフシーズン中の陸上トレーニンなどのメニューが、ぶっちゃけ破綻している事が多いです。

ここで破綻という強い言葉を使いましたが、これには2つの意味合いがあります。

 

1つ目はそもそも団体という制度上、最大多数の最大能力を向上させるメニューが正義となりがちです。

スキーの基礎体力を付けるためにスクワットをしたり、走り込みをしまくったりとかですね。
(因みにスキーの基礎体力とかいう耳障りの良いふわっとした言葉を使い、満足するのはオススメしません。ただのアホです。)

別にスクワットなどの練習種目を否定するつもりは一切ありませんし、僕自身もします。

ただ、団体ではなく、その人個人の技術向上に目を向けた場合、もっと優先度の高い、やるべきトレーニングというのが存在する事が多いです。

右側の股関節が硬い人にとってはその部位のストレッチ、身体から内倒してターンしてしまう人には陸上でターンのイメージトレーニングなどなどですね。
(あ、これは僕の事です)

つまり、団体として全員が同じ練習を行うトレーニング方法だけに頼る事は、どれだけ上質な練習メニューでも、最短上達の面ではそもそも無理があるという事です。

 

2つ目ですが、

そもそも団体でやっているメニューがなんの根拠や実績の無い、
ただ昔からやられている伝統的な練習ってだけで採用されている事があります。
というか、この場合が多いです。

 

現役のプロコーチから直接教わっている訳ではない場合、時代錯誤な滑りのイメトレとかを必死に練習していたり、そもそも実はその練習の正解形を団体で誰も知らないみたいな状態に陥っている事がよくあり得ます。

 

この場合の弊害として、心技体

技(テクニカル)としては、求めていない動作がオフシーズン中に身体にしみ込んでしまい、シーズン中の滑走でエラー(変な癖)に繋がる事などがあります。

体(フィジカル)としては、変な箇所に筋肉がついてしまい動きが鈍くなってしまう事や、走り込みすぎてアルペンスキーに最適な体脂肪率以下になってしまう事などがありますね。

 

特に初心者の場合、何が正しい練習で、その練習がスキーにどのように影響があるのかを理解した上でオフシーズンを過ごす事は難しいと思いますが、結果を出したいなら頭を使ってください。

 

レーシングチームを疑え

 「えっ?プロコーチに教わるなら全部鵜呑みにしていいんじゃないの?」って思った貴方。
純粋で良い子です。

 

勉強というフィールドにおいて、塾講師や家庭教師というシステムがいかに穴だらけかを理解している高学歴は多いのに、
スキーというフィールドになった途端、レーシングチームやスキーコーチを神格化している人が多すぎます。

 

1つ例を挙げます。

初心者の方にはイメージしづらいかもしれませんが、貴方がレーシングチームに練習しに行った時、コーチから「今日は皆○○を意識してみましょう」と言われた事があるかもしれません。

特に何も疑問に思わず、○○を意識した滑りを練習するかもしれませんが、冷静になって考えてほしいです。

貴方は、
足し算が出来ないのに掛け算を勉強しますか?
ベクトルがわからないのに線形代数を勉強しますか?
数Iを勉強する前に数IIIを勉強しますか?

答えはNoなはずです。

 

勉強では当たり前の事なのに、スキーの練習では個々人の技量に応じた指導以外にも、
このようなチーム全体のテーマを決められるような指導法をするレーシングチームが多いと思います。

勿論「初心者でも上級者でも意識する事は同じだ」、とか「精度が違うだけだから意識付けとしては問題ない」と主張する人もいるかもしれませんし、テーマ内容によってはそれが事実な事もあります。

ただ、個人個人の最短上達の面では、レーシングチームの練習に愚直に従う事は必ずしも正解ではない可能性があるという事が言いたいのです。

時に(指導力、技量はプロに劣るであろう)一人の先輩に徹底的に1年間教わった人の方が上達スピードが早い事も今まで見かけました。

 

勿論プロコーチの方々も悪意があるわけではなく、以下のようなことが要因として考えられます。
・選手数が多いのでオペレーションを円滑にする為仕方がない
・絶対数だけでなく、様々な技量の人を同時に教えること自体に無理がある
(eg:塾なら学力別にクラス分けを行うので円滑に進む)
・選手によって練習に来る日がバラバラなので、カリキュラムを組み辛い
・指導内容の順番を頭の中で体系化出来ていない
・スキーが上手く、体系化出来ていても、言語化能力が不足している

 

2つ目の例を挙げます。
今まで大会が練習と違う斜度で上手く滑れなかった経験はありませんか?
今まで大会が練習と違う雪質で上手く滑れなかった経験はありませんか?

特に幼少期から様々な環境で滑りこんでない人は必ずと言っていい程、この経験があると思います。

私が思うに、アルペンスキーにおける大きな状況設定の変数は3つあると思っています。
・バーンの斜度 (緩斜、中斜、急斜)
・バーンの雪質 アイスバーン、やわらかい雪、新雪、春雪など)
・ポールセット 縦方向:インターバル、横方向:振り度)

勿論天候やフォールライン変化、使用する板などなど他にもありますが、メインはこの3つだと思っています。

 

この斜度で滑ったらどこでも滑れる!」とか
硬い雪滑ったら柔らかい雪も対応できる!」とか
主張する上手い人を良く見かけますが、はっきり言って初心者にはムリゲーだと思います。

そう主張する人に限って雪質に応じてエッジングの質やポジションを変えていたり緩斜面は板を走らせる技術を使っていたりします。

特に幼少期からスキーというスポーツに馴染んでいる人は無意識のうちにこのような使い分けをこなしている人も多いです。

 

つまり、この3変数を幅広く全て体験する事が上達において大事になって来るのですが、スキー場でのバーンが固定のレーシングチームがコントロール出来るのは
基本的に3つ目のポールセットだけです。

もっと言うと、プライベートレッスンでない限り、今の自分自身にとって一番練習効率が良いポールセットが立つ事なんてほぼありません

この前提を理解した上でどうシーズンの練習の戦略を立てるかが勝敗を分けると私は考えています。

 

自分を疑え

はい。もうここまでくると宗教チックですね。

まあもうお分かりかもしれませんが、一番怖いのは、自分では正しい事をしているつもりでも実は間違った事をしている事です。

 

例によって、ここでも一つexampleを。 

先輩やコーチから「切り替えで立ち上がれ!」と言われて実践してみたら、
切り替えで上に抜けるな!」と言われた経験があったりしませんか?

この場合、原因は指導者と選手のイメージの差が挙げられます。

スキーをやっていない一般人が、立ち上がるという動作をイメージすると、椅子に座った状態から「起立!」の姿勢で「足裏から頭まで一直線のピンとした姿になる動作」を想像すると思います。

ただ、スキー業界における立ち上がるという動作は、あくまで「膝裏を伸ばす」という意味で使われる事があります。

この二つの動作がどう違うのかは自分で考えて下さい。

 

指導者は後者の意味合いで使っているのに、選手側が前者のイメージだとそりゃ意識しても褒められませんよね。
(因みに余談ですが、地球に垂直に「立つ」と斜度がある以上、必ず後傾になります)

 

このように短時間での言葉だけでの説明/議論には限界があるので、常に自分の理解が正しいかを疑い、積極的に他者とコミュニケーションを取り、認識をすり合わせる事が大事だと私は思います。

また、技術論以外にも行動や選択が自身のゴールに向けての正解かを常に疑い続ける事も大事です。

 

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はい。という事で
ここまで読んでくれた貴方が大好きです (⋈◍)。

ではなく、今回は私がもしスキー1年目に戻ったら知りたかった事を書いてみました。

 

何度も言いますが、最低レベルの運動神経の人が、スキー経験が全くない状態で、
幼少期からアルペンに取り組んでいる平均的な選手と、
限られた時間で同等以上の成績を残す事は、95%無理だと僕は思っています。

 

質や量の面で他者と同じように練習に取り組んでいたら勿論不可能ですし、出来る限りの思考を凝らし、最短ルートで上達しても、達成が困難な可能性の方が高いでしょう。

 

ただ、この厳しい現実を理解した上で強い意志を持ち、本気で上達したいんだという人を
私は心から応援していますし、その為にYouTubeなどの活動をしています。

私が出来る事があれば何でもするので、いつでも連絡を下さい。

待っています。

 

とある学生のスキー旅行記:David

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アルペン語り出版部より②
彼は異常な程スキーに取り憑かれています。滑りの研究は勿論、チームとして優秀な選手獲得を目指し、高校の大会や合宿にも足を運びます。大学 1 年生の全国学生スキー大会では、最終種目に出走せず、高校生の大会に顔を出し選手の獲得に動いていました。(様々な高校から慶應ラ・シャールに入部した選手達は、昨年、新人戦で大活躍しています。)
アルペンレーサーとして速いタイムを出すため、ワックスの塗り込みや、大会用のHFの用意も欠かしません。しかしながら、選手であれば普通使わない、コーチ必需品のレーザー距離計やチューンナップ用の電動ブラシを何故か保有しており、彼に関する謎は依然多いままです。
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