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『週刊アルペン語り』外伝 2 怪我をしない、その上で直近のレースに向けて何ができるか ~アルペンスキーヤーステータス理論~

怪我をしないために何をしている???外伝なのでかなりラフに書いていこうかと思います。最近SLの方が成長していて、コーチがSL特化選手だったことを思い出した早稲田シュプの高峰です。

怪我はアルペンスキーには特につきもので、シュプリンゲンのAチームにも怪我人が出て、

springen-ski.hatenablog.jp

この人は今月から復帰しました。思ったように滑れず焦っているように見えますね。縦に板を入れようとしている意識で滑っているようで、エッジを縦に自分で振ってからぶち込んでいます。これはいわゆる縦縦のコーチングによる賜物なのですが、エッジって実はそう簡単に食い込みません。ざんねーん。数ミリ雪面に入り込まないとエッジはグリップしないのです。縦にエッジを踏み出すとどうなるか、グリップは板が下から次のポール方向を向いてからスタートします。動画で見るとポール外にテールが出ていますね。いわゆる振っている滑りになります。縦に縦にというよりは斜めに谷周り時点で角を立てることで板が縦の状態でグリップするのですよ。まあオール早稲田大会が2/15.16にあるので、それまで特段、自分から教えたりはしません。

大会を近くに迎えると選手は焦り出します。本数を滑りたい。タイムを出したい。普段とは違うラインを攻めたい。スタートで珍しくジャンピングスタートしたい。欲が出ます。

そういう時に、良い滑りができてライン溢れて雪溜まりに突っ込んでそのまま転倒、シーズン終わりといった選手を何人も見てきました。良くて、膝の痛みを抱えながら大事な大会に突撃といった形になります。

 まるでエビ

 

この記事では怪我をしないようにどうすればいいのかを休みまくっていたことで有名な同期2人の例を触れつつ紹介します。

 

まず第16回の中川琉晟の記事から引用

怪我の予防法(簡潔なまとめ)

・オフシーズンに筋トレ、体作りを欠かさずにする

・毎朝コントレをして動ける体で滑る

・防具をしっかり身に付ける

・こまめにレストを取る

 

良い記事でしたね。しかしながらこれだけでは個人的には怪我予防は足りないと思っています。これらの予防法は長期的な予防から、事後処理的な予防、危険回避的な予防に分類できます。

怪我の予防法

[長期的な予防]

・オフシーズンに筋トレ、体作りを欠かさずにする

・毎朝コントレをして動ける体で滑る

[事後処理的な予防]

・防具をしっかり身に付ける

[危険回避的な予防]

・こまめにレストを取る

 

長期的な予防は、まあやっておきなさい。といった感じで、事後処理的なとこもまあ、ある程度ハイレベルな滑りえー、カービングで滑れるぐらいになったら押さえておきたいポイントです。今回は危険回避的な予防についてさらに例をあげます。

こまめにレストをとる。随分ぼやけた言い方ですね笑。これには大きく2つの意味があると思います。日数的なところでのレスト。本数的なところでのレストの2つです。人間、体力には差があります。その日の気分や、板の状態など個人の限界はさまざまです。万人共通の正解はありません。自分に合った休みをできるだけ多く取ると良いでしょう。(白馬高校の人は7日間ぶっ通しで滑ったりしていますが、岩岳レーサーの同期遠藤は3日に1度レスト、慶応の同期DavidはSLの日は卒論を書いてオフにしていました。これが"違い"ですね。)

・日数レスト:たとえば4日滑ったら1日休むといったもの

・本数レスト:疲れたなと思ったらはやめにあがるといったもの

日数レストは個人的には午前上がりを0.5日オフと言い張るのは良くないと考えています。1本でも滑ったら疲れます。休む日はとことん休みましょう。暇があったらリモートでできるインターンやバイトでもして給料を発生させてください。

本数レストに関しては、練習は決して最後までやる必要がないという意識を持つのが大事だと考えています。最後の一本や、午後の後半の時間帯から雪が緩み、足元がガク付き、目に見えてコースでこける人が増えますよね。きついと感じたら休めばいいんです。苦行じゃないですよスキーは。

「このコース状況で滑る必要ある???」

自分に問いかけてください。レースを見据え自分が滑るコースを想像してください。スタートリストが出てて3番スタートで一本勝負だとします。岩岳の高速系は自分は3番スタートです。コースはあまり荒れてないが、2月でやわらかめと想定できます。つまり普段の練習において、やわらかい雪且つ、荒れてない状況でいいパフォーマンスを出せるように仕上げればいいのです。

とんでもない段ぼれがあり、硬い斜面で自分は滑る必要があるのか?大会に必要なのか?自問自答しましょう。

ちなみに、練習環境もレースに合わせて考えていく必要があります。急斜面で大会が行われるのに、緩斜面だけで練習していたらナンデ??という感じです。フリーだけでも緩斜面でおこなってアジャストしていく必要があります。

 

アルペンスキーヤーってステータスを持ってると思っています。アルペンスキーヤーステータス理論です。人による得意不得意です。競馬の馬場適性のような表記になっていますが、人によってこれは得意これは苦手といったものです。

斜度対応力 【緩斜面:S 】【中斜面:A 】【急斜面:C 】

セット対応力【直線:A】【がん振り:B】

雪面対応力 【柔らかめ:A】【かため:A】【春雪:B】

種目対応力 【SL:B】【GS:A】【SG:S】

適正距離  【長距離】【中距離】

ちなみにこれはたけしチーム@牧の入スノーパーク(元:Theきじまなんちゃら)というシュプリンゲンがメインでならっているスクールで練習を重ねた場合の成長例です。基本的に直線縦縦の長距離セットが緩斜面に立ちます。その影響で緩斜面に強い選手が生まれます。さらにコーチが元高速系の選手のためSGの板の使い方など非常に学ぶことが多いです。

一方、JSC@白馬さのさかで練習している選手のステータス例はこのようになります。短い急斜面のコースでビギナーの選手が多いのですが、えぐい振りのセットが立ちます。怪我人を出さないためではあると思うのですが、その影響でステータスに偏りが出ます。またコーチがSLが特に速い選手であったためSLが気づいたら何故か速くなってます。ナンデ!?

斜度対応力 【緩斜面:B】【中斜面:A 】【急斜面:S 】

セット対応力【直線:B】【がん振り:A】

雪面対応力 【柔らかめ:A】【かため:A】【春雪:C】

種目対応力 【SL:S】【GS:A】【SG:A】

適正距離  【中距離】【短距離】

 

JSCに通うようになってから、元々GSが速かったのですが最近だとSLの方がポイントが良いです。※チーム名が慶応になってるのはご愛嬌。(シュプがsaj登録していないため。登録費高いんだよね。アルペンンスキーの人口減ってるのに全日本スキー連盟はこういうところでハードル上げてくるよね。各県も登録しやすいようにしてほしい。まあおじさんだらけでIT系の対応がままならないんだろうな〜と。)

自分に合った練習環境で、大会にむけたイメージを持ち滑ることを意識したいですね。それがレースにむけフォーカスできることで、怪我の防止にもつながります。

 

危険回避的な予防については他にも注意したいことがあります。

1.雪質やコースの掘れ、雪溜まりをしっかり認知する。

2.調子がいい時に調子に乗らない

3.なんにも考えず滑るな(1本1本整える)

4.午前と午後を意識して疲労が溜まる自覚をもつ

5.運転や心的ストレスで怪我をする

6.うまいところを見せようとしない

7.本番は大会

 

調子が上がってきた時に限ってなんか新しいことを始めようとしたりします。ジャンピングスタートとか、激しい漕ぎとか。ちなみに大会になってからはじめて早い漕ぎの練習する人がいますが、フリーの時にできてないなら大会でできませんよ。普段の練習から取り入れる意識を持ちましょう。無理に飛んで、スタートに板から突き刺さって女子(M1 花木)に笑われないようにしましょう。観客の花木さんはそれを見て笑ってはいけないのを分かりながらも我慢できず笑ってしまったようです。

なんも考えずにすべるな。これは大事です。ふわーってスタートすると気づいたら転倒して、仰向けに倒れています。たった1分。短くて30秒です。呼吸を整えて、全集中しましょう。スタート前のルーティーンとか決めておくと集中に入れますよ。

また、ストレスや疲労は蓄積型であることを忘れないでください。朝の車移動からすぐ練習で怪我をした同期や後輩を何人も見ました。車で来て、一瞬で怪我して、車で帰る。悲しいですよね。横国の同期のこちらも遠藤くんは、セット後のフリー3ターン目でやらかしていました。

最後に本番は大会です。結果を求めます。練習でガチガチのガチで行って怪我してどうします?一個先を見て普段の練習を重ねたいですね。

 

まとめると、スキーヤーには得意不得意があり、大会に合わせた調整がもとめられます。大会が本番であり、コース状況を把握しつつ、疲労の蓄積と精神の高揚を自分で整え練習を重ねることが大事ということです。

 

怪我の予防法

[長期的な予防]

・オフシーズンに筋トレ、体作りを欠かさずにする

・毎朝コントレをして動ける体で滑る

[事後処理的な予防]

・防具をしっかり身に付ける

[危険回避的な予防]

・こまめに日数&本数レストを取る

・雪質やコースの掘れ、雪溜まりをしっかり認知する。

・調子がいい時に調子に乗らない

・なんにも考えず滑るな(1本1本整える)

・午前と午後を意識して疲労が溜まる自覚をもつ

・運転や心的ストレスで怪我をする

・うまいところを見せようとしない

・本番は大会

 

以上。オール早稲田の菅平合宿に帯同できないのでブログからコメントでした。

雪上でまた 高峰