―外部のサイトに自分の記事が載るというのも緊張するので文体が定まりません―
皆さん初めまして。東京大学の松村と申します。大学の運動会スキー部に所属しており、シュプリンゲンとは同じスクールで練習しています。
今回、アルペン語りの担当をT峰さんに依頼されて執筆する運びとなりましたが、まずはコチラをご覧ください。
ということで、幸運にも岩岳高速系でシードを獲得して以来、T峰さんにはしつこく声をかけてもらい、小心者の私に自信を持たせてくれています。コトバって大事ですね。
まずは前段として、私の技術的な問題点について“居酒屋トーク”しておきたいと思います。私はT峰さんやN口さんのように技術が卓越しているわけでは無いので、解読可能な範囲で。
私の最近の課題は「ガニ股」です。まずは以下の基礎練の画像をご覧ください。
次にロングポールでの画像をどうぞ。違いがわかるように切り抜いたのでターンの向きが違うのはご愛嬌。
ロングポールの練習になると足元が開き、素人目に見ても不恰好な滑りと言わざるを得ません。
「不恰好」の部分をもう少し具体化すると、、、
・両膝の外旋/内旋の動きの程度が違っていて、相異なる方向に力が働いている
・外足に体重が乗り切っていない
・内倒気味
2点目と3点目は同じことを言い方だけ変えているようなものですが、まあそういうことです。
この現象が起きる原因としては、画像の違うという点からもご想像の通り、「基礎練/フリー」と「ロングポール」の性質の違いがそのまま現れているというところに帰着するでしょう。
ポールにあたりに行く意識ではなく、まずは足元からアクションを起こしてターンの途中にポールがあるという意識。何だかアルペンの初歩の課題に戻ってきたような気がしますが、これが初歩であり基幹。基礎が何にも優って重要ということですね。
編集部より:(注)このDMはシュプではなく名古屋大学のN尻さんとのものです
技術論について私が語るのには技術的にも話術的にも限界がありますので、ここから本題に入っていきます。私が常日頃感じている疑問を数珠繋ぎ形式で並べるという革新的(まとまっていない)語り口でいきたいと思います。
Ⅰ なんで皆もっとスキーを真面目にやらないんだろう?
スキー3年目、色々な事情を持つスキーヤーと接する機会に恵まれてきましたが、とりあえずモチベーションが低い人や“エンジョイ勢”があまり好きではありません。
スキーにかかるお金は尋常でなく、2年前初期投資をした時はもう後には戻れないなとゾクゾクした記憶があります。バイト代で賄った親から出してもらった色々あれど、そのお金は大学生が背負うにはあまりに大きなものです。
だからこそ、ポッとスキー場に現れてエンジョイ程度に済ませてしまう人には「え?」となります。お金が全て、ではないですが。
どうせ競技スキーに打ち込むのであれば、周りと高め合ってより上を目指したいのに、そのような環境が自動的に整備されているわけではないということですね。
Ⅱ 今シーズン、私は果たして上手くなったのだろうか?
ここで優秀な読者の皆さんには当然、上記の疑問が思い浮かぶことでしょう。そこまで言うなら貴様は上手くなったのかと。
その答えは No です。客観的にも主観的にも、今シーズンは目立った進歩が無い時間が続きました。ぼちぼち“大学生はじめ”というラベルが剥がれてきて、シンプルな技量・タイムで計られる頃合いになりますが、同期のライバルには先を行かれ、後輩にも追い抜かれていくようになりました。
だからこそ、周りにⅠを共有するのは難しいんです。おこがましいったらありゃしない。
それでも、今シーズンはこれまでで一番練習してきました。日数は申し分ないはずです。コーチの下でレッスンの質も確保してきました。とすると、周りとの差は一体何なのでしょうか。
Ⅲ 運動神経を練習で克服していけるのか?
ここで、私の運動歴をご紹介します。
都内中高一貫校に入学した松村少年はバスケ部に入部するものの、顧問と反りが合わず2年冬に退部。バスケ愛は強かったのでその後もクラブチームなどで細々とやっておりましたが、それで基礎体力が錬成されたわけではありません。
高校時代は昼休みに遊び、体育で周りよりもちょっと運動ができた程度で、何を隠そう私は将棋部の部長をやっておりましたから、そちらに傾倒していました。
すなわち、大学からスキーを始めるのに全然相応しくない人材が東大スキー部に堂々入部してきたわけですね。運動が好きで、大学に入ったら夢中で打ち込めるスポーツが見つけられたらと決めましたが、そんな彼に“まともな”土台は備わっていませんでした。
今年はウェイトに力を入れ、そこら辺の人よりはスクワットは上がるようになったような気がします。それでも雪上に赴くと、同期はアドバイスを数回・数日で習得し、その一方でいつまでも改善しない私は停滞してしまう、そんなもどかしい日々が続来ました。
運動神経が悪いということが、差のつく要素の一つであることはほぼ間違いなさそうです。悲観とか諦めではなく、あくまで客観分析として。
より咀嚼可能な方に引きつければ、筋力をつけても身体の操作性や柔軟性で元来の差があり、それがオフトレで埋まり切っていないという所に真の問題があります。
Ⅳ 解決策①;人生を賭してスキーができるのか?
それでは、差を埋める方途を考えてみましょう。
解決策一つ目は、周りが引くくらいスキーにリソースを割き練習を増やす→早い話 ◯avid みたいなムーブをかますということです。もはやモチベーションの高さ云々という次元を超えています。人生を賭けられるのかどうかというハナシ。
結論から申し上げると、私には到底そのような勇気はありません。
上を目指していきたいという思いはもちろんありますが、あくまでスキーを趣味として、私という人間の全部ではなく一部として付き合っていきたいというスタンスなので。
Ⅴ 解決策②;スキーを諦めるのか?
自分に合う競技ではなかったと悟って、卒部と同時にスッキリ辞めてしまうのも一つの手ではあります。
しかし、魅力に取り憑かれて辞めるに辞められず、Skiholic 状態になってしまった先輩を私は何人も知っています。
弊部だけでも「もおーー絶対やらないから!」などと現役時代は仰っていたのに今年ニセコでシーズンインしていたT先輩、飲んだくれてブクブクに太ってしもたけど再開を目論んでいるK先輩がいます。シュプの上級生の方々にとってはお馴染みの二人ですね笑
アルペンスキーの魅力は危険なほど強いです。イッパツで辞められるほど簡単なものではありません。
Ⅵ 解決策っぽいもの;
ⅣとⅤというのはどちらも極論と思われるかもしれませんが、実はこれらの中間択を模索するのは難しいです。中間択それすなわち、これまでの自分のカタチでしたが、なかなか技術が伸びてこなかったわけで。
ということで最近、私は焦らず時間をかけてやっていこうというスタンスに切り替えつつあります。Ⅳとは別の意味で、人生をかけてスキーの技術を磨いていこうということですね。
当然普段の練習には全力で取り組み、目の前の大会の一つ一つにも集中して臨みますがその傍らで、卒部した後も息長く打ち込んでいれば、いずれは満足のいく結果が得られるのではないかと。
何歳になっても、やるなら目標を持って一生懸命やり続けようということです。なんか我ながら良い結論に近づいたような気がしています。
でもあんまりのんびりしたことを言っていると、ふと訪れるブレイクスルーの瞬間を失ってしまいかねませんね。次の練習もしっかり、考えながら滑っていきます。
そして、アルペンは他人と競い合うのが何より重要です。レーシングチームが無ければ、スキー部アルペンパートに同期がいなかった私にライバルという存在は出現しなかったのであり、特に一橋・神戸・筑波の同期とはこれからも切磋琢磨できればというところ。最近は水を開けられつつあるので、巻き返していきたいです。
そうは言ってもそろそろ終わりが見えてきた学生スキーという時間。人生という長いスパンを用意したとて、この4年の価値というのは計り知れません。
これもご縁ですから、東大スキー部だけでなく、レーシングチームやシュプの皆さんにも何かしら、カケラでも良いので遺して卒部できればと思っています。
アルペンという競技には、どこかで書かれたような心技体の頂点たる競技という一面だけではなく、こんなド凡人でも真摯に打ち込むとちょっとだけ、人生を良い方へ導いてくれる素敵な側面もあるということに、少し目を向けてもらえたらと思っています。
私もシュプの皆さんと同様、“中毒者”になってしまったようですね笑
最後に、東大スキー部では早稲田生よりも優秀な学生さんでもスキーに打ち込める環境が全て揃っています!この記事で、東大にもスキー部というものがあるらしい とか 運動会という組織があるんだ などと関心を持たれた方もきっといらっしゃるでしょう。
SNSやブログも動かしておりますので、ぜひそちらもご覧になってくださいませ!
やればやるほど奥深く、さらに先を目指したいと思える素晴らしい劇薬に出会えたことに感謝しつつ、この辺で終わりにしたいと思います。
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アルペン語り編集部より - 参考 -
Ⅳ 解決策①;人生を賭してスキーができるのか?
◯avidのブログ
Ⅵ 解決策っぽいもの;
心技体の頂点たる競技
インタビュー動画
執筆してくださった東大の松村がインタビューされた動画となります。